今井出版から本を出された著者の方々にお話をうかがいました。
Q. 本づくりのきっかけを教えてください。
新聞にもよく文章を載せていただいているのですが、結局その時だけで散ってしまってなかなか後には残らないんです。
だけど本は、どんなに小さい本でも必ず図書館で読んでもらって、書棚の中でずっと息をしている。
本には生命力があるから、どこかでいつまで も生き永らえてくれるんじゃないかなって。
だからいつかは本にしたいと思っていました。それは 本と僕との共同作業であり、生きる元気をもらうことにもなるので。
Q. この本はどんな本ですか?
たぶん一般の方の源氏物語に対するイメージは、不実なプレイボーイがいい加減な生き方をしているという感じだと思います。
光源氏っていうのはそういうところもあるけれど、政界や経済界で最高位に達したような人が、実は若き日に犯した罪をかなり深く悔やみながら、最愛の人にも距離を置かれて一人ぼっちで死んでいくんです。
この本は物語全体を読みやすく俯瞰してみることで、人生ってこういうもんだよねとか、人を愛 するってどういうことなんだろうとか、考える材料をたくさん与えてもらえる本です。
Q. 大変だった点・難しかった点はありますか?
すごくたくさん調べる必要があるので大変でした。
たぶん日本の古典で一番研究書が多いのが源氏物語だと思いますけど、大学の先生ではないので、とてもすべてを調べることはできません。
とはいえ小説とかエッセイみたいに自分で思うままに書いてはいけないですから、大学院で研究 をしていた大きな流れに反しないように書くという苦労はありました。
昼も夜も資料を読んで、それを基に柱立てをして、最初は各巻のあらすじから書き始めましたから。
Q. この本は、どんな人に読んでもらいたいですか?
源氏物語講座の講師を務めた経験があるので、本当に大事なところをあまり専門的に言わないで、なるべく面白く伝えたいというのが本を書くエネルギーになっています。
それなので男女を問わず源氏物語や古典に関心のある一般の方で、50代以上くらいの少し時間に余裕があるような方に読んでもらいたいです。
あとは受験生が読んでおくと、試験に源氏が出たときに大体のストーリーがわかっていると解きやすいよねっていうようなことも思っています。
■源氏物語を読んでみよう 紫式部が伝えたかった「大切なこと」
誰もが知っている古典文学「源氏物語」の魅力を伝え、初めての人でも作品の本質を楽しめる入門書的な一冊。
●著:中永 廣樹
●発行日:2024年2月
●仕様:A5判・160頁・上製本
●価格:1,540円(本体1,400円+税10%)
中永 廣樹 NAKANAGA Hiroki
米子市在住。 西伯郡中山町(現大山町)生まれ。 元鳥取県教育長。