今井出版から本を出された著者の方々にお話をうかがいました。
Q.本づくりのきっかけを教えてください。
「比田踊り」(盆踊り)の口説き手が年々少なくなってきて存続が危ぶまれていたところに、私自身も病気で倒れてしまったこともあり、20歳過ぎから盆踊りの口説き手として継承してきた「郷土芸能・比田踊り」のノウハウやルーツ等を伝承する教本をつくりたいと思い始めました。
ちょうどそんな時に今井書店(田和山)の店頭で本づくりのパンフレットをもらい、執筆を始めました。
執筆を始めてからほぼ10年で書き終えましたが、その後妻を亡くし、自らも病気になったりしてさらに10年お蔵入りしておりました。それでも周囲の励ましや勧めもあって「私がまだ元気なうちに」という思いで、意を決して原稿等を持参し、本格的に担当者との作成協議が始まりました。
Q.本づくりをされてみて、いかがでしたか。
約50年間の活動記録を日記や資料から収集整理することから始めて、活動を記録したたくさんの写真の山を年代ごとにアルバムに整理していくなかで、その時々の思い出が走馬灯のようによみがえり、往時を偲びながら楽しく執筆が進みました。
素人の企画・執筆を意識するなかで、記録などの事務的な記載は半分くらいにして、多少面白味のある内容は膨らませながら、読んでもらえる本になるように心がけました。さらに聴いて楽しんでもらおうと、盆踊り唄のCDも付録で付けることにしました。
執筆を進めるうちにどんどん発想が広がり、当初は予定していなかった内容が加わってさらに良くなっていくという楽しさは、本づくりの醍醐味でした。

Q.この本はどんな本ですか?
「比田踊り」の話題を提供し関心を集め、全国へ紹介・普及することで地区外の郷土芸能に関心のある方への情報提供や郷土比田のPRになればいいなという思いと同時に、私の日記を基に口説き人生を振り返った「自分史」的な内容です。長年にわたり陰ながら私の活動を支援し支えてくれた亡き妻に対する「鎮魂の書・歌」として感謝の気持ちを込めました。

■島根・安来 比田たたらの里盆唄 ─ 唄い継ぐ比田踊りとそのルーツ ─
安来市無形文化財・比田踊りの保存と継承に携わった筆者が、比田踊りとの出会いから全国に紹介普及されるまでの道のりと、各種資料から探った比田踊りのルーツをまとめました。
●著:小池 清水
●発行日:2022年7月
●仕様:A5判・172頁・並製本
●価格:1,500円(本体1,364円+税10%)
小池 清水さん KOIKE Kiyomi
安来市在住。