著者の声

安らぎの場が失われる前に記録を残したい。
野津貴章さん

Imai Publishing Report
今井出版から本を出された著者の方々にお話をうかがいました。

Q.本づくりのきっかけを教えてください。

2001年から山野の植物を探して松江市内を歩き回って写真を撮り、Webサイト「松江の花図鑑」を運営してきました。その中で、杜の中の神社や山裾の小さな祠に多々出会いました。新しい植物に出会う機会も少なくなり、2021年から本格的に市内の神社を訪ねました。妻の介護のため外出不能となり、今まで見てきた約600ヶ所を地域毎にまとめて、コピーを公民館に寄贈しました。妻の死をきっかけに、自分の生きた証として1冊の本として残そうと思いました。

Q.この本はどんな本ですか?

松江には多くの神社があり『風土記』や『延喜式』に載る神社をはじめ、氏神様として地域で祀られる神社、また小集落や個人で祀られる小さな祠などが人々の心の安らぎの場となっています。明治時代には一村一社制度により、多くが地区の一つの神社に合祀されました。小集落の小さな祠は残ったものの、最近では維持が難しく、廃社や合祀され、人知れず忘れ去られようとしています。地元でもご存じの方はご高齢で、調べるならば今しかないと思い、できるだけ資料をあたり、小さな祠や旧社地を探し、位置図をつけました。

Q.大変だった・難しかった点はありますか?

今まで本作りの経験がなく、専用のソフトも持たず、PCに向かい文書や写真を整理しました。最初に使っていたフリーソフトは、ページ数が大幅に増えると動かず、別ソフトに替えて何とかまとめました。頁数の関係で2社の説明と写真を1頁に収めるため、説明不足になってしまいました。

Q.もう1冊つくるとしたら、どんな本ですか?

できれば、今まで歩いた美保関往還・杵築往還、松江の山々などの記録を本にできればいいなと思います。

■松江の神社&その旧社地

松江市内にある神社と、合祀・廃社されて自然の中に還り忘れ去られつつある旧社地を、写真・地図とともに約600ヶ所掲載した1冊。

●著:野津 貴章
●発行日:2023年8月
●仕様:A5判・398頁・並製本
●価格:2,200円(本体2,000円+税10%)

野津 貴章さん NOTSU Yoshiyuki
松江市在住。

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